CG動画の進化と歴史 最新技術を駆使した動画を紹介【最新版】

映画やドラマ、ゲームなど、CG動画は今や私たちが一般的に目にするものといえるでしょう。
こうしたエンターテインメントの世界だけでなく、企業のプロモーションにCGを利用し人目を惹く動画を作成したり、スマートフォンのアプリを使ってプロにも劣らないCG動画を作成したりするなど、映像技術はさらなる広がりを見せています。

ここでは、CG動画の歴史を振り返りつつ、国内・海外を含めたCG最新事情をご紹介します。

 

目次

1)CGとはなにか?

2)CG動画の歴史

3)現代のCG動画

4)世界のCG動画の事例

5)映画のCG動画

6)ゲームのCG動画

7)まとめ:これからのCG動画

 

1 CGとはなにか?

CGとは、コンピューターグラフィックス(computer graphics)の略語で、コンピューターを利用して描かれる、静止画や動画のことです。現実と見紛うようなリアルな描写に限らず、コンピューターで描かれたものは、全てコンピューターグラフィックスに含まれます。
現代においては、実写映像以外のほとんどのテレビアニメーションや、テレビコマーシャルの制作にコンピューターが用いられます。それらは全て、コンピュータグラフィックスと言えます。

 

●CGの種類

一般的に見かけられるコンピュータグラフィックスの種類は、大きく二つに分類されます。
それは「2DCG」と「3DCG」です。

2DCGは「二次元コンピュータグラフィックス(two dimensional computer graphics)」の略語で、平面的に見えるイラストレーションや、子供向けのテレビアニメーションなどに多く用いられています。紙などに描いた絵をスキャナーでコンピューターに取り込み、デジタル加工するケース、マウスやタブレットを用いて、コンピューター上で直接描画するケース、などがあります。

3DCGは「三次元コンピュータグラフィックス(three dimensional computer graphics)」の略語で、コンピューターの中に仮想空間を作り、そこに仮想の物体や人物、カメラを配置し、撮影をする技術です。実写映像並の高クオリティなグラフィックスを制作することも可能ですが、3DCGを一見2DCGのように見せかける技術もあります。

また、CAD(computer aided design)なども、CGの種類に含まれます。コンピューター上で設計図などを作図するシステムで、建築や機械設計、土木や電気設計などの分野に利用されます。

 

■Animator vs. Animation (original)

2Dアニメーションを作るアニメータと、そのアニメキャラクターとの戦いが描かれています。
アニメーションとしても秀逸ですが、2Dアニメーションがどのように作られているのかも、理解することができます。

 

■3DCG制作の流れ

3DCGがどのように作られているのか、実例が紹介されています。

 

2 CG動画の歴史

コンピュータグラフィックスという言葉を始めて使ったのは、1960年代、ボーイング社のウィリアム・フェッターでした。その後、人工衛星の起動シュミレーションなどに、CG動画が用いられたり、実験的なアート作品が作られたりしました。

映画などに本格的にコンピュータグラフィックスが使用されるようになったのは、1982年、スティーブン・リズバーガー監督によって制作されたSF映画『トロン』が最初です。この映画は全編がコンピューターで制作されたわけではなく、96分中の、15分程度が、コンピューターグラフィックスとなります。1980年代のコンピューターグラフィックスは、まだ非常に制作コストが高く、近代的なSFをイメージした『トロン』を制作するために、その大半は、コンピューターグラフィックスに見せかけた手書きのアニメーションが使用されました。

その後、1980年代後半から、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが『リトルマーメイド』『美女と野獣』などに、コンピューターグラフィックスを用いましたが、それも映画の中の一部のみに留まっていました。

世界初のフルCGアニメーション映画は、1995年にピクサー・アニメーション・スタジオの制作した『トイ・ストーリー』です。ディズニーとピクサーは、共同でコンピューターグラフィックスの制作システムを作り、『トイ・ストーリー』では、81分の全編が、3DCGで制作されています。

 

■One of the First Computer-Generated Films, from 1963 – AT&T Archives

エドワード・E・ジャックによる、人工衛星シュミレーション動画です。

 

■1982 – トロン – 予告編

当時とても話題になった『トロン』の予告編です。多くの映画製作者やアーティストがトロンに影響をうけました。

 

■リトル・マーメイド アンダー・ザ・シー – 1989 / 1999 – Under The Sea – Japanese

一見して従来のセルアニメーションのようですが、この頃から一部、コンピューターグラフィックスが利用されはじめました。

 

■君はともだち (トイ・ストーリー)

世界初の、フルCG映画です。人物の描写などにはまだ違和感がありますが、当時としては画期的な技術の進歩でした。

 

3 現代のCG動画

現代では、コンピューターが普及し、CG動画の制作技術も進歩したために、多くの動画アニメーションがCGで制作されるようになりました。

実写と見紛うようなフル3DCGが、映画やゲームに利用されているのはもちろんですが、見ていてそれとは気づかないよう、動画にコンピュータグラフィックスが利用されています。

トゥーンレンダリングという技術は、3DCGで制作したCG動画を、二次元のセル画のように見せかけます。従来のアニメーションでは時間がかかっていた動画の作成も、3DCGの技術を用いれば、モデルを一度制作するだけで、使いまわすことができます。

 

■デジタルスタジオガラパゴ_ワイヤーフレーム.avi

より実写的な3DCGがどのように制作されているのかが理解できます。

 

■How To Create Toon Style Animation In Blender

Blenderという、フリーの3DCG制作ソフトでも、ここまで高いクオリティのトゥーンレンダリングが可能です。

 

●リアルタイムレンダリング

単純なリアルさだけではなく、まるで体験しているような「リアルタイムさ」を可能にしたのがリアルタイムレンダリングです。
リアルタイムレンダリングとは、即時に生成(レンダリング)されるCGのことをいいます。

従来は長時間かけて事前にコンピューターにCGを描くプレレンダリングが主流でした。
しかし、オンラインゲームや体験型VRコンテンツの発展により、ただ見るだけではなく、ユーザーの反応に合わせて変化するようなCGが求められるようになったのです。

2018年には主にゲーム開発に使われるプラットフォーム「Unity」を利用したCGアニメーション映画『Windup』のテストシーンが公開され話題になりました。
プレレンダリング手法であれば長時間かかるレンダリング処理を、Unityを活用することですぐにプレビューを動かすことができます。こうした技術の発展が、より自由な映像制作に貢献しています。

 

■WiNDUP: Award-winning animated short film | Unity

ゲーム開発エンジンUnityを活用した3DCG短編作品。
ホームオフィス用の標準的なコンピューターとUnityを用いて作られたこの作品は、リアルタイム表現の可能性を追求しているとして話題になりました。

 

●VR・AR

VR(Virtual Reality/仮想現実)やAR(Augmented Reality/拡張現実)の発展にも、CGは大きく関わっています。
これらのデジタルコンテンツにCG技術の活用は欠かせません。
仮想空間に現実に見える車や部屋といった物を360℃再現したり、スマートフォンをかざすと動くキャラクターが画面に登場したり、こうしたコンテンツはCGのみ、もしくは実写とCGの組み合わせなどで作られています。

VRショールームのようにゴーグルを装着して体験する世界から、360度カメラで撮影した映像をCG化し、実写と組み合わせて配信する手法など、近年発展を見せています。

 

■ウエインズグループ VRショールーム

トヨタの扱う自動車を、VRゴーグルを装着して体験できるVRショールームです。
リアルと変わらない世界を味わうことができます。

 

■いきものがかり Volumetric Live ~生きる~

生配信ライブとして話題になった、いきものがかりのライブ映像は、ソニーが開発したボリュメトリックキャプチャ技術を活用。
スタジオで撮影した実際の人物をデジタルデータに変換し、仮想空間やCGと組み合わせてまったく新しい映像作品に仕上げています。

 

●メタバース

メタバースとは、アバターを介して仮想空間にアクセスし、そこで提供されるサービスを活用したり、コミュニケーションをとったりする仮想空間サービスや仮想世界そのもののことをいいます。
2020年より新型コロナ感染症の影響でリモートでのコミュニケーションが加速し、さらに2021年10月にFacebookが社名をMeta社に変更。
同社がメタバース分野への進出を表明したことで、世間の注目が高まりました。

メタバースは、仮想空間でのイベントに参加し、より没入感を味わえます。
また、遠隔にいる相手同士でも仮想空間でコミュニケーションをとることで、よりリアルに近い対話が可能になります。

 

■あつまれ どうぶつの森 Direct 2021.10.15

大ヒットとなった任天堂の『あつまれどうぶつの森』も、広義のメタバースと考えられます。

 

■TOKYO GAME SHOW VR 2021 PLAY MOVIE

2021年、仮想空間で開催された東京ゲームショー。
仮想空間に出現した会場に、ユーザーはアバターで参加し、出典企業のブースや特別コンテンツを楽しむことができました。

 

■TOYOTA Marine WORLDダイジェスト映像

トヨタの提供する仮想空間、「VR Chat」内に設置されたTOYOTA Marine WORLDでは、参加者はアバターに扮してワールド内を自由に探索できるほか、ほかの参加者とボイスチャットで会話することも可能です。
レクサスブースなど、CG技術を用いてブランドの世界観を表現したブースにて、参加者は動画視聴やクルージングといったコンテンツを体験することができます。

 

 

4 世界のCG動画の事例

CG技術の高まりで、動画のおもしろさやリアルさはどんどん増しています。
個人が制作したCG動画から、ゲームを原作にしたCGドラマなど、コンテンツとしての深さと広がりはとどまることを知りません。

 

●世界中で配信されるCG動画

世界中で、優秀なコンピューターグラフィック技術者が今日も見事なコンテンツや動画を制作しています。
また、世界的なコンピュータの普及により、個人制作でもクオリティの高いCG動画が多く制作されています。

 

■Action Movie Kid – Volume 01

CGクリエーターのお父さんが、息子を撮影したホームビデオにユーモラスな特撮加工を施したものです。

 

■『バイオハザード: インフィニット ダークネス』冒頭映像 – Netflix

一世を風靡したゲーム『バイオハザード』を原作としたドラマ。
CGを用いて制作されており、ゲームで感じた恐怖をリアルに実感できる映像となっています。

 

●日本のCG動画

日本でのCGの位置付けは、とくにアニメーションの世界において限定的なものでした。
セル画のような手書きの作風が好まれ、CG技術のアニメーション活用はロボットや背景など限定的なものに留まっていました。
しかし、昨今ではCG技術の発展とともに、アニメの世界での表現の幅が広がり、日本ならではの技術を活かした作品が誕生しています。

 

■TOKYO COSMO

2015年に発表された日本発CGアニメーション。
キャラクターの表情豊かな描写やリアルな質感に、TBS主催の短編アニメーションコンテストで観客賞を受賞しました。

 

■TVアニメ『宝石の国』本PV

2017年に発表され、CGならではの特性を活かした作品として話題になったフルCGアニメーション『宝石の国』。
手書き表現の補助的位置付けのCGから脱し、人間の柔らかい質感や細かな表情が再現されています。

 

■つむりん いいもの こうかん だいさくせん

デル・テクノロジーズ株式会社が主催した、CG・VFX技術を駆使した作品を募った「ステイフォームVFX」入賞作品。
テレビからキャラクターが飛び出る可愛らしい映像に加え、仕掛けと遊び心満載の流れが目を惹きます。

 

 

5 映画のCG動画

実写映画の特撮部分は、コンピューターグラフィックスにより制作されています。
実際に撮影することが困難な、SF的描写や、爆発、モンスター、のみならず、ごくあたりまえの街の風景でさえも、ロケで撮影されたものではない場合があります。
スタジオで撮影したあと、コンピューターで描画した背景を合成し、ロケで撮影したように見せかけます。

 

■特別映像<命を吹き込む?制作現場>『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』映画館で上映中!

動物のリアルな表情を再現するために、CG技術が駆使されている。

 

■映画『ペンギン・ハイウェイ』 予告2

スタジオコロリドによる『ペンギン・ハイウェイ』。
2Dと3Dのベストバランスを追求した作画では、3DCGをカメラマップやUVマッピングと融合させ背景美術を表現しています。

 

6 ゲームのCG動画

テレビゲームやスマートフォンのゲームに用いられている動画は、ほぼ全てがコンピューターグラフィックスです(ごくまれに、実写を用いたゲームもあります) 
一部のテレビゲームでは、3DCGで作られたキャラクターを、ユーザが自由に操作することができます。
3DCGで作られた世界の中をプレイヤーが旅し、戦う姿が、ゲームプレイとともに描画されます。
膨大なデータ量を必要としますが、現代では、1本のゲームディスクに入れられるデータ量は増えました。
また、テクスチャなどの技術が進化し、より少ないデータ量で、より実写に近く見せる技術が発達してきています。

 

■FINAL FANTASY XV TGS2016 トレーラー/ファイナルファンタジー15

ファイナルファンタジー最新作では、これだけの高画質なグラフィックスとゲーム内容が1枚のディスクに納められています。

 

7 まとめ:これからのCG動画

CG動画の活用は映画やアニメーションだけでなく、VRといった新しいコンテンツの広がりにより、さらに進歩が進んでいます。
VRゴーグルやグローブを用いて、仮想現実の世界に入り込んだ感覚を味わえるだけでなく、まるでコンピューターグラフィックスの世界に住んでいるようなコンテンツ・サービスの開発が始まっています。

さらに、メタバースの発展も、CG技術の進歩に大きな影響を与えるでしょう。
映画やテレビゲームなどに用いられる、いかにも3DCGといった美麗なCGのみならず、CG動画は気づかないうちに、私たちの生活の一部となっています。本物と対面するのと同じくらい自然に、友人や著名人と会話する未来がやってくるかもしれません。

買い物も、勉強も、仕事も、友達との遊びも、CGを活用して作られた世界で行うことが、「当たり前」になる世界も遠くないといえるでしょう。

 

■”NEUTRANS” PV 2021 [VR Innovation Tower] **Synamon Inc.**

VR技術を活用し、バーチャル空間でのビジネス活動を可能にするプラットフォームです。
まるでその場にいるように、リモートでもリアルの集まりを体験することができます。VR空間には、一流のCGデザイナーの技術が活用されています。

 

■DigitalTwinLabel – Ai Tominaga /Cyberagent

3DCGコンテンツの企画・制作を行う、サイバーエージェントのサービス「デジタルツインレーベル」によって発表された、著名人の3DCGモデル動画。