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2017.08.16

地方の観光プロモーションに力を入れている事例

近年、地方自治体が観光名所や特産品、あるいは自治体そのものの観光プロモーションを行うことが増えています。
もともとプロモーションは民間企業が行うものであり、公的な団体はプロモーションを行うことはあまりありませんでした。ところが、近年は地方における少子高齢化や税収の減少などにより、自治体が自ら観光プロモーションに乗り出す事例が増えています。訪れる観光客の増加や、自治体に直接寄付できるふるさと納税、そして特産品の売り上げ増加を狙って自治体が積極的に広報活動を進めているのです。
今後地方の人口減少がますます進む中で、自治体によるプロモーション活動の事例は減ることはないでしょう。今回の記事では、地方が観光プロモーションに力を入れている事例を5つご紹介し、その特徴をご説明したいと思います。



目次

1)大分県別府市

2)宮崎県小林市

3)高知県

4)長野県小諸市

5)宮城県仙台市

まとめ




1)大分県別府市

2017年7月の地方自治体に関連したニュースとして最も話題になっているのが、大分県別府市の「湯~園地」です。
これは、もともと2016年秋に公開したネット上のPR動画が元になっています。遊園地を温浴施設とした架空の動画だったのですが、「100万回再生されれば実際に温浴施設を作る」と宣言。結局わずか3日で100万回再生を達成したため、その後市はクラウドファンディングやふるさと納税などで予算を調達し、2017年7月に3日間限定のアトラクションとしてオープンさせました。
別府が温泉地であることは全国的にも知られていますが、温泉を生かしたプロモーションとしては最高の結果と言えるのではないでしょうか。




2)宮崎県小林市

宮崎県小林市は、県西部に位置する人口4万人あまりの小都市です。全国的な知名度があるとは言い難いのですが、独創的な地方移住PRムービーがネット上で話題になりました。
第1弾は、フランス人男性が小林市の美しい自然を紹介する内容なのですが、男性の言葉がいかにもフランス語(実際に字幕がつきます)と見せかけて、本当はこの地の方言である西諸弁という仕掛けが利いていました。第2弾は、女子高生が下校中に街の人々から逃げ回るというパニックムービー的な演出で、実は話し好きの「スーパー・フレンドリー」な住民を避けていた…というオチでした。
どちらも、動画にひねりを利かせて最後まで見させる(離脱率を抑える)仕掛けとなっています。小林市の美しい自然や温かい人情味もしっかりアピールされ、一度は訪れたくなるよくできたプロモーション動画です。




3)高知県

高知県では、2013年から「高知家」という名前で振興キャンペーンを行っています。高知県全体を「家」に見立てて、一体となって豊かな自然や温かい県民性、観光資源をPRするものです。キャンペーンサイトやPR動画はもちろん、ロゴやグッズ、広告に至るまで「高知家」で統一されており、特産品のアピールだけでなく観光客増加(2013年以降続けて400万人突破)などの結果につながっています。
高知県の場合、特定のキャンペーンや動画が突出して話題になっているというよりも、「高知家」を継続していることで、PRの統一感が打ち出され、「一度は行ってみようか」と思わせることに成功していると考えられます。企業に統一感のあるブランドイメージが必要なように、地方の観光プロモーションにも統一感が必要なのかもしれません。

http://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/~top/




4)長野県小諸市

自治体の観光プロモーションは、多くの場合広告代理店と組んで(場合によっては依頼して)動画やサイト作成などを行っているケースが多いとされ、完成度の高いキャンペーンも少なくありません。そんな中、長野県小諸市の場合は逆張りのように「完成度の低すぎる」PR動画を作成してネット上で話題になりました。
小諸市によれば、脚本・撮影・演出・出演は全て市職員が担当し、市長自らも奮闘したとのこと。制作費はわずか9500円で、作りはあまりに「ちゃち」なのですが、そうしたゆるい制作裏話もあいまって知名度向上に一役買いました。お金がなくても、市職員の熱意と制作の裏話もプロモーション戦略に利用してしまう工夫のうまさが、結果に結びついた事例と言えます。




5)宮城県仙台市

2017年7月、宮城県仙台市のPR動画が物議を醸しました。観光キャンペーンサイトに公開されたの、タレントの壇蜜さんが宮城のゆるキャラ「むすび丸」にずんだ餅や牛タンなどの名物を教えていくという内容になっています。
しかし、(壇蜜さんのキャラに合わせたのか)性的な暗喩のこめられたセリフや演出が繰り返されていたためか、SNS上で炎上。仙台市長(女性)が苦言を呈し、それに対して宮城県知事(男性)が「問題ない」と反論するなど、悪い意味で話題となっています。
県知事は「リスクを負っても皆さんに見ていただくものを」と述べていますが、炎上による知名度の向上は長い目で見るとあまり自治体にメリットをもたらさないのではないかと思われます。知名度の低い自治体や企業が、リスクを冒して「炎上」しかねないPR動画を作成する手はあるかもしれませんが、宮城県や仙台市ほど知名度の高い自治体にとっては、あまり効果的ではないでしょう。やはり、共感や面白さによる拡散を狙うべきと考えられます。




まとめ

地方の観光プロモーション事例を見てみると、これからは企業以外においてもマーケティングやブランディングに配慮し、「顧客」を集める戦略が求められていることが分かります。ただし、動画公開やキャンペーンの実施するにしても、目的が「知名度向上」にとどまっているようなものが多く、その後特産品の売り上げ向上や観光客増加、移住者増加、税収増加などにつながっているのか、疑問の残るものも少なくありません。その意味で、これからの地方プロモーションにおいては、予算を投じる価値のある目標設定が鍵となってくるでしょう。

2017.08.15

商品のPRを成功させるために大切なこと

「商品PR」と言われてもよく方法が分からず、インターネットで検索して(「商品 PR 事例」など)先行事例を研究し、類似のPR方法を立ち上げる企業は意外と多いのではないでしょうか。
先行事例を参考にしたくなるのは、何も自分たちが分からないから、だけではありません。社内でPRについて稟議を上げるときに、どうしても「過去にかくかくしかじかの事例があり、かくかくしかじかの効果があった」というストーリーを語れると説得力が増します。社内を説得するうえでも、先行事例は都合がよいという側面があるのではないでしょうか。
しかし、本当にPRを成功させたければ、ただ事例のパターンをなぞるだけでは足りないはず。やはり、本質をつかんで自社にあてはめないと自分ごとになりませんし、説得力のあるPRにはなりにくいのです。
そこでこの記事では、商品PRを成功させるために必要な「本質」を考えたいと思います。成功したプロモーション活動は、いずれも本質、原理の部分に相通ずるものを持っています。自社の商品と消費者を巡る本質を考えること。その必要性を訴えることがこの記事の目的です。



目次

1)商品PRのキモは「コミュニケーション」
1 PR=売り込みではない
2 商品と消費者のコミュニケーション
3 消費者と消費者のコミュニケーション

2)商品PRの4ステップ
1 ターゲット層の絞り込み
2 商品コンセプト(ストーリー)の練り込み
3 PRチャネルの選別

まとめ




1)商品PRのキモは「コミュニケーション」
1 PR=売り込みではない

PRはPublic Relationsの略語です。一般的に、PRというと就職活動における「自己PR」のように「商品を売り込むこと」という意味で使用されているきらいがあります。しかし、言葉の本義から考え直してみると、PRとは本来生産者から消費者に対する一方的なアプローチを指すものではありません。
むしろ、「パブリック=一般大衆」との関係を構築・維持するための活動は、全てPRなのです。その意味で、PRとは売り込みではなく、商品と消費者、生産者と消費者のコミュニケーションを指していると捉えるべきでしょう。また、PRによって消費者と消費者のコミュニケーション=口コミも喚起出来ることもあります。




2 商品・生産者と消費者のコミュニケーション

商品と消費者のコミュニケーションとは、すなわち消費者が商品に魅力やストーリー性を感じ、購買に至るまでのプロセスを指すと考えてもよいでしょう。
逆に言えば、消費者とのコミュニケーションを喚起するような商品の魅力を、生産者が付加出来るのか、感知出来るのかが課題となります。消費者に刺さる、商品に親しみを感じるだけの魅力をPR活動において引き出すことが、生産者としてなすべきポイントです。消費者の関心事と商品の魅力を結びつけるPR活動が、コミュニケーションを生み出すきっかけとなります。




3 消費者と消費者のコミュニケーション

商品の魅力が消費者に届いたら、消費者同士の「口コミ」によって商品の認知度、好感度が驚くほどあっという間に高まることがあります。大企業に限らず、LINEやツイッターなどといったSNSによって「面白さ」が認知されると一気に情報が広まるのです。こうなると、消費者自身がPR活動に参加してくれるイメージで、むしろ会社側としては広がりを制御することも出来ず戸惑うくらいかもしれません。
なかなか意図的にPR活動によってSNSでの拡散を狙うのは難しいかもしれませんが、こういった可能性のあることは頭に入れておきましょう。




2)商品PRの4ステップ
1 ターゲット層の絞り込み

コミュニケーションを喚起しやすい商品PRとはどのようなものでしょうか。まず考えたいのは、商品を売り込むターゲット層の絞り込みです。マーケティング用語で「ペルソナ」というものがありますが、細かく具体的にターゲットのイメージを考えます。
「20代女性」というざっくりした像ではなく、例えば「東京都出身25歳女性、4年生の都内私立大学卒業後都内広告会社(社員20名の小企業)に就職、現在広告の事務・経理の仕事4年目。コツコツやるのはきらいではないが、そろそろ広告の企画や営業にもチャレンジしたいと考えている。ただし、上司には伝えていない。…(以下略)」のように細かく、目の前にその人の絵が浮かんでくるくらいまで考えます。
ターゲット層をこれ以上ないくらい具体的にイメージすることで、いかに商品を売り込むかも考えやすくなります。




2 商品コンセプト(ストーリー)の練り込み

ペルソナに合わせた商品コンセプトを練り込みます。すでにPRしたい商品が出来ている場合は、ペルソナの関心事とすりあわせられないか検討していきます。




3 PRチャネルの選別

ペルソナがしっかり出来ていると、PRチャネルも自ずと見えてくるはずです。商品次第ですが、20代女性ということでインスタグラムやツイッターで商品アカウントを作成し、PRするのが効果的かもしれません。




まとめ

兵法の大家である孫子の名言に、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」というものがあります。敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦をしても負けることがない。これは、商品PRにも当てはまる名言です(実際、マーケティング用語にはもともと戦争用語だったものがたくさんあります)。
売るべき消費者のターゲット層を熟知し、それに対する自社の商品を熟知することが出来れば、自ずとPRは成功に近づきます。ただし、この場合の「熟知する」というのは消費者にとって有用な知識であり、細かいスペックや制作費などの生産者側の知識ではありません。その商品が何を実現し、何をもたらしてくれるか…そのストーリーをどれくらい精緻に語れるかが、商品PRの成否を分けるキモであると言えるでしょう。

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