1. この記事の要点
決算説明会のライブ配信は「映像」よりも「音声」と「バックアップ」で成否が決まります。まずは回線・機材・運用の冗長化を前提に、トラブル時の切り替え手順まで準備することが最重要です。加えて、IRは情報の正確性が最優先なので、資料差し替え・発言修正・アーカイブ公開のルールも事前に合意しておくと安心です。字幕は「完璧」より「要点が読める」が実務解で、まずは人手で要点字幕から始めるのが現実的です。
2. この記事の対象(想定読者)
- 決算説明会をライブ配信したいIR・広報・経営企画の担当者
- 配信業者や映像制作会社に依頼する前に、抜け漏れを減らしたい方
- 過去に「音が小さい」「止まった」「アーカイブが遅れた」で困った方
3. 決算説明会配信で多いトラブル(先に失敗例)
- 音声が小さい・割れる・片チャンネルだけ鳴る
- 回線が不安定で映像が固まる、落ちる
- スライドが切り替わらない、画面共有が映らない
- 質疑のマイクが拾えず、Q&Aが聞こえない
- 録画が取れていない、アーカイブ公開が遅れる
- 字幕が遅れる・誤認識で誤情報に見える
このあたりは「事前準備」と「切り替え手順」でかなり防げます。
4. チェックリスト30(当日用:コピペOK)
以下は「配信前日まで」「当日リハ」「本番中」「終了後」に分けてあります。印刷してチェックを付ける運用が一番強いです。
5-1. 事前準備(前日まで)
- 1. 配信の目的とKPIを明確化(視聴数、滞在率、質疑件数、アーカイブ視聴など)
- 2. 配信プラットフォーム確定(YouTube Live / Zoom / Teams / 専用IR配信など)
- 3. 視聴導線の確定(IRページ、メール、適時開示、SNSの扱い)
- 4. 当日の進行台本(分単位)を作成(開始/注意事項/質疑/締め)
- 5. 登壇者の立ち位置、目線、読み上げ速度の方針を決める
- 6. スライド最終版の締切と差し替えルールを合意(いつまで修正可か)
- 7. リスク事項の整理(止まった場合のアナウンス文、代替URLなど)
- 8. 配信チームの役割分担(進行、配信操作、音声、監視、QA)
- 9. 連絡手段の二重化(チャット+電話、緊急連絡網)
- 10. タイムコードの取り方を決める(アーカイブのチャプターに使う)
5-2. 音声(最重要)
- 11. 主マイクの種類を確定(ピン/ハンド/卓上)と予備マイクを用意
- 12. 音声経路を図にする(マイク→ミキサー→PC→配信)
- 13. 音量基準を決める(小さすぎない、割れないライン)
- 14. 質疑用マイクの拾い方を設計(会場マイク/ガンマイク/卓上増設)
- 15. ハウリング対策(スピーカー位置、モニター音量、会場PA連携)
5-3. 回線とバックアップ(止まらない設計)
- 16. 有線LANを基本にする(Wi-Fiはバックアップ扱い)
- 17. 回線の冗長化(別回線、テザリング、予備ルーター)
- 18. 配信PCの予備(または同等の予備環境)を用意
- 19. 配信ソフト/設定のバックアップ(プロファイル保存、復元手順)
- 20. 「落ちた時に何をするか」を手順化(復帰/切替/告知)
5-4. 映像・資料・画面共有
- 21. スライド表示方法を確定(画面共有/スイッチャー/メディアプレイヤー)
- 22. 解像度・比率の統一(16:9推奨、文字サイズ基準を設定)
- 23. スライドのフォント埋め込み・表示崩れチェック
- 24. ロゴや数値が潰れないか(配信画面で実サイズ確認)
- 25. 登壇者カメラの画角・照明・背景を整える(反射、逆光を避ける)
5-5. 字幕(要点字幕が実務解)
- 26. 字幕の目的を決める(聴覚補助/聞き逃し対策/要点提示)
- 27. 方式を決める(自動字幕/リアルタイム入力/要点字幕/後付け)
- 28. 要点字幕の運用ルール(重要数値・固有名詞だけ必ず出す)
5-6. アーカイブと公開後対応
- 29. 録画は二重化(配信側録画+ローカル録画)
- 30. 公開手順と編集範囲を合意(無音部分カット、チャプター、差し替え可否)
6. 当日リハ(15分でやる最低限)
- 音声:登壇者の声→質疑マイク→BGMなし、順に確認
- 映像:カメラ映像、スライド、画面共有の切替確認
- 回線:スピードと安定性、テザリングへの切替テスト
- 字幕:固有名詞(社名、製品名、数値)だけでも表示できるか
- 録画:ローカル録画が開始できているか、容量が足りるか
リハで問題が出た場合は「音声→回線→切替」の順で直します。映像は最後でOKです。
7. 字幕は「要点だけ」でも効果が出る
IRの字幕は、ニュース配信のような逐語字幕でなくても価値があります。特に、以下の要素が読めるだけで視聴体験は改善します。
- 売上・利益などの重要数値
- 見通し(通期予想、ガイダンス)
- 要因(増減の理由の要点)
- 重要な固有名詞(事業名、プロジェクト名)
まずは「要点字幕」を運用し、アーカイブ版で精度を上げる流れが現実的です。
8. バックアップ設計の具体例(推奨パターン)
- 回線:主回線(有線)+予備(テザリング)
- 配信:主PC+予備PC(同じ設定を複製)
- 音声:主マイク+予備マイク、ミキサーの予備入力を確保
- 録画:配信側録画+ローカル録画(別系統)
ポイントは「同じ原因で同時に死なない」組み合わせにすることです。
9. よくある質問(FAQ)
9-1. 決算説明会の配信は、社内で内製できますか?
可能です。ただし、音声とバックアップの設計は知見が出やすい部分なので、初回だけ外部プロに入ってもらい、テンプレ化して内製運用に移行するのが最も安定します。
9-2. どの配信プラットフォームが良いですか?
目的次第です。一般公開でアーカイブ重視ならYouTube Live、招待制やQA管理重視ならZoom/Teams、IR専用機能(視聴者属性・セキュリティ)を求めるならIR配信サービスが向きます。
9-3. 字幕は必須ですか?
必須ではありませんが、音が出せない環境や聞き取りづらい環境の視聴者には効果があります。最初は要点字幕からでも十分です。
9-4. 本番で止まった場合、どう案内すべきですか?
復旧見込みと代替手段を短く伝えます。例として「ただいま配信が不安定です。復旧まで数分お待ちください。復旧しない場合はIRページにてアーカイブを公開します」のように、次の行動を提示します。
10. CTA(次のアクション)
- 決算説明会配信の事前診断(音声・回線・バックアップ設計の確認)
- 当日運用台本の整備(役割分担、タイムライン、切替手順の作成)
- 要点字幕の運用設計(重要語辞書、表示ルール、アーカイブ整備)







