動画広告やCMなどで感動をすると、視聴者はその感動を誰かと共有したくなります。
その時、人間の脳はどのような働きをしているのでしょうか。
ここでは、感動してしまう動画広告の成功事例について紹介します。
目次
1 感情を揺さぶる動画の効果
2 動画広告のトレンド
3 感動してしまう動画広告15選
4 まとめ
1 感情を揺さぶる動画の効果
涙腺を刺激されるような、感動に訴えかける映像は古くから根強い人気があります。
ドラマや映画といったストーリーがある映像に限らず、テレビ・SNS等で目にする動画にも、その「感動」の効果は取り入れられています。
人は、感情を強く揺さぶられるとき、脳内で大量のドーパミンが放出されます。
大脳皮質をはじめ脳の広い活動が活性化するといわれています。
喜び、悲しみ、楽しさなど、感情を揺さぶる動画は、見る人の個人的な経験や感情と結びつき、より強く記憶に残る可能性があるのです。
インターネットでの拡散が宣伝効果に大きく左右する現代において、感情を刺激する動画は、重要なマーケティング手段といえるでしょう。
2 動画広告のトレンド
これまでの動画広告はテレビコマーシャルが主流でした。
テレビコマーシャルでは15秒、30秒といった短い時間の動画が中心です。
しかし、近年インターネットでの企業広告が普及し、より長い動画を制作、リリースすることが容易になりました。
近年、インターネットで話題となる企業動画には、120秒といった長いものも珍しくありません。
「広告」という点でいえば、長すぎる動画は嫌煙される可能性も十分にありますが、企業精神や商品・サービスへの想いを丹念に表現するため、丁寧に作りこまれた動画は、むしろ好まれるといってよいでしょう。
Youtubeなど、動画の普及により、動画が伝達手段として珍しいものではなくなったからこそ、プロフェッショナルの手によって作られた動画が記憶に残るのです。
3 感動してしまう動画広告15選
ここでは、感動してしまう動画広告の事例を紹介します。
1.アクエリアス CM 「見えない “がんばれ” 少年野球」篇
サッカー、バレーボール、野球。それぞれのスポーツに取り組む子どもたちの姿。
そして、その子を想う親の気持ちを描いたアクエリアスのCMです。
子どもの夢に向かう姿を応援するような歌詞、そして「見えない「がんばれ」が詰まってる」というキャッチコピーに、思わず親である自分、子どもだった自分を重ね合わせてしまいます。
2.東京ガスCM 「家族の絆 やめてよ」篇(90秒)
もうすぐ嫁いでしまう娘の、父に対する複雑な心境を丁寧に描いた、東京ガスのCMです。最後の父親の言葉に思わず涙してしまいます。
娘を持つ父にとっては共感でき、感動を誘うのではないでしょうか。
また、東京ガスの動画広告は他にもシリーズがあり、どれも「家族の絆」をテーマとしています。
3.カロリーメイトCM|「見えないもの」篇 フルバージョン 森山直太朗 – さくら(二〇二〇合唱)
動画に映るのは、試験勉強に打ち込む少年、動画で授業を配信する先生、中止になった大会。
2020年、新型コロナ感染症が広がるなか生活が変わってしまった学校生活です。
そのなかで、できることをひとつひとつ打ち込む、生徒や先生の姿が映し出されます。
どうしようもならない大きなものの前で感じてしまう無力感。
それでも、前に進むために踏ん張る力と周りの応援。
「見えないもの」が、そこにあると思い出させてくれる動画といえるでしょう。
4.dTV「ふたりをつなぐ物語」篇 60秒
映画やドラマなどが見放題になる「dTV」というサービスの動画広告です。
宇宙で働く彼女と地上で働く彼氏の、超遠距離恋愛を描いたムービーなのですが、離れた場所にいてもdTVを利用して一緒に映画を見ることによって、二人は繋がっているというコンセプトになっています。
壮大さと日常を併せ持った、素敵な雰囲気に仕上がっています。
5.ムーニー「752gで生まれた赤ちゃん、退院までの軌跡」
「ムーニーエアフィット病産院用」の宣伝用動画です。
とても小さく生まれた赤ちゃんが退院するまでの軌跡を追ったドキュメンタリームービーで、参院とユニ・チャームが協力開発した、病産院用の小さな紙おむつが使われています。
NICUでがんばっている小さな赤ちゃんを支える、企業姿勢が伝わってくる動画です。
6.「パパ検定」~世界一簡単な問題です~【フルver】
集められた5人のパパたち。
目の前に出された「パパ検定」。
そこには、パパたちに内緒で集められた、パパについての質問に答える子どもたちの姿がありました。
「世界一簡単な問題です」と題された検定の真意とは……?
子どもたちのやり取りを見守るパパの視線、そして検定の点数に、子育ての喜びを感じさせてくれる動画です。
7.ポカリスエットCM|「でも君が見えた」篇 60秒
まるで夢の国に迷い込んでしまったような幻想的で美しい映像。
そのなかを駆け抜ける一人の少女と、胸を打つような歌声が印象に残るCMです。
青春の迷いと、直接的なストーリーはありませんが、視覚的に印象の強い背景と合わせ、一瞬のきらめき。
別れと出会いが交差する春の、尊さを思わせてくれる動画となっています。
8.『iモード卒業公演』Music by STUTS
2026年にサービスが終了するドコモの『iモード』。
これまでの感謝の気持ちを込めて作られた企業CMには、iモードがつないできたさまざまな「想い」が詰まっています。
はじめて携帯を持った日、友達とのメール、写メ、着メロ……個人の、これまでの大切な思い出をたどってくれる動画です。
9.SUPER BEAVER「人として」がしみる… 新入社員の同期の絆を描く感動CM アサヒスーパードライ「#ビールって苦いだけじゃない キャンペーン Episode2」
仕事に迷う新入社員……自信を失いかけていた主人公が、仕事を通じて経験を積んでいく姿が描かれています。
「ビールって苦いだけじゃない」というキャンペーンにあわせ、仕事の辛さと同時に仕事のやりがい、そして大人になる醍醐味を感じさせてくれる動画となっています。
10.医療関係者と同じ気持ちで「看護師のしごと」篇|中外製薬
看護師として働く主人公の日常と、過去の思い出を交差させながら、物語が進む動画です。
病気が変えてしまう人の心。
そこに対して、看護師としてできることを探す姿が印象的です。
生きること、誰かを大切に思うこと、職務を全うすること。
仕事にかける想いに、心が揺さぶられる動画です。
11. 150周年企業広告「美しさとは、人のしあわせを願うこと。」60秒篇|資生堂
150周年を記念して作られた資生堂の企業広告では、「美しさ」に向き合う企業精神が表れています。
動画に映し出されるのは、さまざまな年代の、さまざまな人々の「美」です。
時代も年齢も性別も超えて、人の幸せと美しさに取り組む姿勢が、感情を揺さぶります。
12.「見守るということ。」篇 90秒|日本生命
ちょっと子煩悩なお父さん。
そんな目線で映し出される娘の姿を追ううちに、視聴者はあることに気づきます。
タイトルにある「見守るということ」がどんなことかを、伝えてくれる動画です。
13. 3月14日夜、九州新幹線が流れ星になる。
2011年、東北大震災の翌日に開通した九州新幹線。
それから10年、その間にも世間はさまざまな自然災害に見舞われました。
そんな「辛さ」や「苦しさ」に負けず、今を生きる人々を応援したい、そんな企業の願いが込められたキャンペーンの動画です。
14.JR東海|TVCM『会うって、特別だったんだ。』(60秒ver.)
東海道新幹線のCMでは、面と向かって会うのが難しくなった時代の「会う」を描いています。
新幹線に乗り、出張に訪れた女性。
商談が終わり帰り際、振り返るとそこには……。
「会える」が当たり前ではない時を経験したからこそ、心に響く動画です。
15.TEPCO速報 「家族になる篇」/東京電力ホールディングスPR映像
「家族」について描いたTEPCOのCMです。
結婚を目前に、相手との温度感の差に悩む女性。
ため込んでいた不安が爆発してしまった夜、彼のある行動から、彼の気持ちを再確認します。
家族を持つ誰もが経験するような日常の一コマから、つながる大切さを描いているCMです。
4 まとめ
感動する、笑える、泣ける、など感情を揺さぶる動画は、人の脳に深く記憶されます。
広告のターゲット像を正確に捉え、感動を与えることにより、企業イメージのアップや販売促進につながります。
しかし、表面的なメッセージや、現代の価値観に反するような表現、または不安などネガティブな感情を煽るような動画は、人々の批判にさらされる恐れもあります。
企業として、社会に伝えるべきメッセージを真摯に考えることが、人の心に残る企業広告となるでしょう。