EV(電気自動車)の普及とともに、企業のブランディングや製品訴求において「未来志向」や「サステナビリティ」を前面に押し出す動画の重要性が高まっています。
今回は、日産と日立インダストリアルプロダクツが公開する5本の動画を取り上げ、それぞれがどのようにEVの価値や企業の理念を伝えているのか、構成や演出の観点から読み解きます。
目次
1)【日産アリア】「選ぶなら、未来基準。」篇 30秒
2)【サステナビリティ】 子どもたちと考える未来 ep3 : 『スマートエネルギー:上手に電気を使うために』 | 日産
3)【企業】勤務中にEV充電完了!新しい通勤スタイルの提案|日立インダストリアルプロダクツ
4)「冒険する人が好きだ」篇 フルVer.
5)【EV】WEB MOVIE「時速100kmになるのに、何秒かかるか?」
まとめ
1.【日産アリア】「選ぶなら、未来基準。」篇 30秒
「未来基準で選ぶクルマ」というキャッチコピーのもと、日産アリアの存在感を凝縮して伝える30秒CM。
都市の夜景や洗練された車体の映像をテンポよくつなぎ、次世代EVの先進性を視覚的に印象づけています。
ナレーションは最小限に抑え、BGMは未来感を漂わせる電子音系で構成され、映像美とスピード感にフォーカスした仕上がりです。
短尺ながらブランドの世界観が明確に伝わる構成となっています。
2.【サステナビリティ】 子どもたちと考える未来 ep3 : 『スマートエネルギー:上手に電気を使うために』 | 日産
子どもたちの素朴な疑問を出発点に、電気の使い方や再生可能エネルギーの活用について考えるシリーズの一編。
小学生が登場し、専門家の解説とともに「スマートエネルギー」について分かりやすく学んでいきます。
全編を通じて柔らかいナレーションと親しみやすいアニメーションが使われており、教育動画としても活用可能。
カラフルな演出と会話形式の構成で、子どもから大人まで楽しめる内容になっています。
3.【企業】勤務中にEV充電完了!新しい通勤スタイルの提案|日立インダストリアルプロダクツ
EV充電インフラと働き方改革を組み合わせた、日立の新しいビジネスソリューションを紹介する動画です。
勤務時間中にEVの充電を可能にするということがどういうことなのか、土浦事業所で行われている実際の取り組みを詳しく解説しています。
大容量・超急速充電マルチポートEVチャージャの専門的な内容をわかりやすく伝えるとともに、実際に利用している社員の声を拾い、新しい通勤スタイルのメリットをアピール。
オフィス風景と共に、EVステーションの使い方が自然に紹介されており、製品紹介と働き方提案がバランスよく融合。
誇張のないリアリティと誠実なナレーションが、企業としての信頼感を醸成しています。
4.「冒険する人が好きだ」篇 フルVer.
三菱のブランドメッセージをストーリー仕立てで伝える本動画では、「冒険する人が好きだ」というコピーを軸に、挑戦を続ける人々と車の関係を描いています。
登場人物のリアルな表情や多様なシーンが、企業姿勢を物語として映像化。
ナレーションは使わず、音楽と映像だけで情感を表現する構成で、広告というより短編映像作品に近いアプローチ。
映像美と編集テンポの妙が、視聴者に深い印象を残します。
5.【EV】WEB MOVIE「時速100kmになるのに、何秒かかるか?」
EVの加速性能に焦点を当てたショートムービー。
「競争」「比較」というわかりやすい構図を用いて、車の性能を論理的かつ直感的に伝えています。
EV車特有の「静かさ」や「加速の滑らかさ」を視覚的に伝えるのに効果的な構成です。
製品のスペック紹介にとどまらず、「乗ってみたい」と思わせてくれる動画といえます。
まとめ
EVやスマートエネルギーといった分野は、まだ多くの人にとって「未来の技術」であり、実際に体験していないことが前提となるテーマです。
だからこそ、動画には“未体験の価値”を具体的なシーンや言葉、感情で想像させる力が求められます。
今回の動画事例では、加速の瞬間を体感的に描いた演出や、EVとともにある通勤風景、冒険を支えるクルマとしての描写など、「これからの暮らし」をリアルかつ魅力的に描き出す工夫が光っていました。
未来を遠いものとして描くのではなく、すでに身近にある選択肢として見せることで、視聴者の共感と興味を引き出すことができます。