AI広告のいま。自動生成の魅力とプロ制作の違いを探る

近年、AI技術の進化により、広告映像の制作にも大きな変化が訪れています。
かつては膨大なコストと時間を必要とした映像制作が、AIによって手軽に実現できるようになり、実際の広告にAIによる映像が採用されはじめています。
AI広告は「スピード」「低コスト」「斬新なビジュアル」という強力な武器を持っていますが、同時に「表現の深み」や「ブランド体験への配慮」といった点では、依然としてプロの映像制作の価値が際立ちます。
ここでは、AIが活用された4つの広告事例を取り上げ、その特徴や課題を見ていきます。

目次

1)McDonald’s Japan uses A.I. to create a commercial!

2)Japanese company has used AI-generated characters for the first time in commercial

3)日本初!AIタレントを起用したCM第2弾! 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇

4)LivenのAI広告

まとめ

 

 

1.McDonald’s Japan uses A.I. to create a commercial!

世界的ファストフードチェーンであるマクドナルド日本支社による、AIキャラクターを用いたCMです。
グローバル企業がAIを起用したという点で、非常に話題になりました。
生成AIによるキャラクターデザインや映像演出は、一目で「従来の広告とは違う」と感じさせるユニークさを持っています。
制作時間の短縮や多様なビジュアルパターンの展開はAIならではの強みですが、ストーリーテリングや人間の感情を引き出す演技面では、まだプロの撮影に比べて物足りなさを感じさせる部分もあります。

 

 

2.Japanese company has used AI-generated characters for the first time in commercial

日本企業が初めて、広告にAI生成キャラクターを全面的に起用したCMです。
人間ではなく、AIが生み出した人物が画面上で商品を紹介するという革新的な試みは、視聴者に新鮮さと驚きを与えました。
AIキャラクターはコストをかけずに繰り返し利用できる点が魅力ですが、一方で「リアリティや親近感の不足」「違和感の残る動作」など、完全に人間に代替するには限界があることも浮き彫りになっています。

 

 

3.日本初!AIタレントを起用したCM第2弾! 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇

日本ではじめてAIタレントを起用した伊藤園の第2弾CMです。
AIが生成した俳優のような人物が登場し、自然な動作で商品の魅力を伝えています。
AIタレントは、従来のタレント契約やスケジュール調整の問題を解決できるというメリットを持ちますが、一方で「ブランドの信頼性」や「消費者との感情的なつながり」をどう担保するかは課題です。
プロのタレントや俳優には、その人自身のキャリアやイメージが広告に付加価値を与えるため、この差は大きいといえます。

 

 

4.LivenのAI広告

先延ばし癖を改善するアプリ、LivenによるAI広告です。
アニメーションを用いて、いまアプリを必要としている人々に語り掛ける構成になっています。
独特なキャラクターが目を惹きます。
しかしながら、服装やキャラクターの動作などは、所々違和感を含んでいます。
短い時間でマスに対して発信するSNSにおいては、話題を集めるという点で効果が期待できます。
しかしながら、長いスパンでブランド力を醸成するという点においては、クリエイティブ力の重要性が否めません。

 

 

まとめ

今回紹介した4本の事例から見えるのは、AI広告は「スピード」「コスト効率」「斬新な表現」に優れているという点です。
また、AI広告を効果的に活用したCMや動画事例は少ないため、企業や組織が導入する場合、話題に上りやすいというメリットもあります。

一方で、動画による「ブランド価値の訴求」や「視聴者との共感」、「ストーリーテリングによる感情への訴え方」といった面では、プロによる映像製作のほうが優れている点が否めません。
利便性や新しい技術という面から、すべての動画制作がAIによるものに置き換わるのは現実的ではないでしょう。

話題性だけではなく、ブランド力を高めたいなど明確な目的を持つ場合には、プロの映像制作のメリットを十分に享受できるといえます。