飛行機に乗るたび必ず目にする機内安全ビデオ。
通常は定型的な説明にとどまりますが、独自のクリエイティブを取り入れることで、乗客の記憶に残る体験へと進化させる航空会社も少なくありません。
キャラクターとのコラボレーションや映画仕立ての構成、文化的なモチーフの活用など、その工夫は多彩です。
今回は、世界的にも話題となった5本の映像を取り上げ、その内容と映像表現の工夫を見ていきます。
目次
1)ANA機内安全ビデオ「ポケモン特別版」
2)The Most Epic Safety Video Ever Made #AirNZSafetyVideo
3)British Airways | Safety Video 2024 | May We Haveth One’s Attention
4)Safety Mudras – Air India’s Inflight Safety Video
5)A Hundred Years of Safety – Delta’s 2025 Centennial Safety Video
まとめ
1.ANA機内安全ビデオ「ポケモン特別版」
ANAが公開したポケモン特別版は、ピカチュウをはじめとする人気キャラクターが登場し、乗客に向けて安全手順を案内していきます。
シートベルトの装着方法や酸素マスクの使い方といった基本的な説明が、キャラクターの仕草や映像演出と結びつくことで、子どもから大人まで自然に引き込まれます。
エンターテイメントと安全教育を同時に成立させている点が、ファミリー層や観光客にとって心に残る体験となっています。
2.The Most Epic Safety Video Ever Made #AirNZSafetyVideo
ニュージーランド航空による「The Most Epic Safety Video Ever Made」は、『ホビット』や『ロード・オブ・ザ・リング』の世界観を取り入れた映像です。
壮大な風景と映画さながらの演出が織り込まれ、安全説明がまるで冒険物語の一部のように展開します。
映画ファンや観光客に強い印象を与えるだけでなく、航空会社のブランドを観光資源と結びつける役割も果たしています。
3.British Airways | Safety Video 2024 | May We Haveth One’s Attention
イギリス航空の2024年版は、ユーモアと英国らしい品格を兼ね備えた安全ビデオです。
俳優や著名人が登場し、独特のウィットを交えながら手順を案内する構成で、乗客が思わず笑みを浮かべながら最後まで映像を見てしまう仕掛けになっています。
安全手順を分かりやすく伝えつつ、英国文化のアイデンティティを発信する要素も盛り込まれているのが印象的です。
4.Safety Mudras – Air India’s Inflight Safety Video
エア・インディアの「Safety Mudras」では、伝統的なムドラ(手の象徴的な動作)を用いて安全手順を説明しています。
文化的な要素を活かした演出は、ただの説明にとどまらず、インドらしさを感じさせる映像体験へと昇華しています。
ジェスチャーを視覚的に活用することで、言語に依存せずに直感的に理解できる工夫も光り、国際線の乗客にとってもわかりやすい構成になっています。
5.A Hundred Years of Safety – Delta’s 2025 Centennial Safety Video
デルタ航空の創立100周年を記念して制作された安全ビデオは、歴史的映像や制服の変遷を織り込みながら、現代の安全説明へとつながっていく構成です。
単なる案内を超え、会社の歩みや航空の進化を振り返らせる物語性を持たせることで、視聴者は安全手順を学びながらブランドの歴史にも触れることができます。
アニバーサリー映像としての役割を兼ね備えた、記念碑的な作品となっています。
まとめ
今回取り上げた5本の機内安全ビデオは、それぞれが「退屈になりがちな説明」をどのように乗客の体験へ変えていくかに工夫を凝らしていました。
キャラクターや映画の世界観を活かす例、文化的モチーフを取り入れる例、ユーモアや歴史を組み込む例など、アプローチは異なりますが、共通しているのは「記憶に残る映像表現」を通じて安全意識を高めていることです。
航空会社にとって安全説明は義務であると同時に、ブランドを表現する場でもあり、創意工夫がそのまま顧客体験の質につながることを実感させてくれます。








