日本の伝統工芸のプロモーション映像5選〜芸能編

日本伝統工芸とは、日本に古くから伝わる芸術や技能の事で、現代に存在する文化の中でも、西洋の文化が入ってくる以前から存在し、形を変える事なく受け継がれてきた物の事を指します。
しかし、起源としての多くは、中国から入ってきた文化を日本独自の解釈や技術で応用した物も多く、そういった意味では現代の文化とも発生の仕方は大きく違わないという考えも方あります。
現代でも伝統工芸は多く受け継がれていますが、中には受け継がれる事なく途中で途絶えてしまった物もいくつか存在します。
将来に受け継いでいくため、認知してもらうため、目的は様々ですが、伝統工芸においても映像を使ったプロモーションも活発化しています。

 

 

目次

1)能楽

2)歌舞伎舞踊 邦楽

3)神楽

4)盆踊り

5)書道

まとめ

 

 

1)能楽

能楽とは能と狂言、式三番を含めた呼び名で、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
能楽は江戸時代まで猿楽と呼ばれており、江戸幕府と共に存続の危機に晒された猿楽は、明治維新時に立ち上がった能楽社に継承し、能、狂言、式三番は現代まで名を残す事になりました。
能楽にはカマエやハコビ等、独自の所作方があり、これらの動き方は日本武術に由来するとも言われています。また、歌舞伎や日本舞踏と違い、正方形のステージで正面と左右、三方向の客を意識している為、円を描くような動きが多いのが特徴です。
奈良県は猿楽の源流としても知られており、動画ではそんな能楽ゆかりの地である大淀町の紹介や、現代の能楽師へのインタビュー、町で行っている能楽に対する取り組みなどが写されています。

 

 

2)歌舞伎舞踊 邦楽

歌舞伎舞踊とは、歌舞伎の演中に含まれる躍りの事で、それ自体が独立したパフォーマンスとしての物も含まれています。独立した歌舞伎舞踊でも、演じるのが歌舞伎役者であったり、歌舞伎の中の一部分を躍りで表現していたりと、歌舞伎と縁の深い物となっています。
歌舞伎舞踊を踊るのは、歌舞伎役者と日本舞踏家であり、踊り手は人間国宝と称されます。
発祥は1603年、出雲の阿国が風流の念仏躍から一部変化させた、かぶき躍りからなるとされており、以降の歌舞伎のほとんどは躍りを中心として構成されてきました。
多様な文化が入り乱れる現代では、このような純和風な躍りや音楽というものは逆に新鮮で、日本人らしさや日本の奥ゆかしさを肌で感じる事が出来ます。
また外国の方からの評価も高く、日本に興味のある人達には一度生で観てもらう価値があるはずです。

 

 

3)神楽

神楽とは神社の祭礼で行われる神に奉納する為の歌舞の事で、平安時代中期に様式が出来上がりました。日本神話での岩戸隠れの時に、アメノウズメが舞った舞が神楽の期限ともされており、神楽の多くは自然に感謝し神に対して奉納する為の舞いであり、人々の生活の反映や豊作を祈願する為にも行われてきました。
神社の神楽殿で行われ、神座に神を降ろして人々との交流を行ったり、人々の穢れを払う等、人と神とが共に行う宴でもあります。
また、古くから存在する神楽と比べて比較的新しいもの、特に明治時代以降に作られたものを近代の神楽と呼び、中にはオリジナルの神楽がある寺社もあります。

 

 

4)盆踊り

盆踊りは、字のごとく、盆の時期に死者を供養するための躍りで、古くから娯楽の為に、また村の結束を強める為の社会的な役割を果たしてきました。
死者を供養するためですが宗教的意味合いはほとんど無く、農民の人達が楽しむ為の娯楽としての要素が強くありました。地方の特色も強く、現代でも自治会によって少しずつ違っていたりしており、阿波踊り等もその内の一つです。
江戸時代に絶頂を迎え、次第に盆踊りは性エネルギーの解放を意味するようになります。それまで日本では性を神聖な物と捉えており、世俗的宗教行事の中に神聖なる性があると考えられ、盆踊りは一部の人達には性の行事でもありました。
しかし、風紀を乱すとして取り締まりの対象となり、次第に性的な意味での風習は廃れ、現代のように躍りを踊るだけの行事として引き継がれてきました。

 

 

5)書道

書道とは筆と墨を使って字を書くものであり、子供の頃に誰もが一度は経験した事があるのではないでしょうか。一昔前まで字を書くという事は基本的に筆と墨を使っており、皆が普段の生活の中で当たり前のようにしていた事でした。しかし、近年では多用な文化の進展に伴い、筆を使うという機会は珍しくなりつつあります。筆と墨を使って文字を書くというのは今や美的表現、芸術の一つとされており、文字の美的表現、その周辺に関するしつけ所作方の事を含めて書道と呼ばれています。
書道は元々中国から日本に伝わってきたものであり、日本ではかな文字や漢字等、独自の文字を用いるようになりました。中国では高机に向かって立ったまま書くことが多いとされていますが、日本では正座をした状態で書く事が基本とされています。
通常A4サイズの半紙に書く事が多いですが、動画のように大きな紙に書いたり、創作物に書いたり等、近年では海外からも芸術としての価値が大きく見出だされています。また、書く姿自体をパフォーマンスとする書道パフォーマンスも注目を浴びており、日本の芸術文化として高く評価されているものであります。

 

 

まとめ

日本の伝統芸能というと、日本舞踊や雅楽等、庶民の生活からは縁遠い物が多いように感じますが、盆踊りや書道等、一般の人も娯楽として一度は目にしたことがある物も多く、意外と身近な所にも存在しているのです。
元々は祭事や娯楽として日常にありふれていた物が、複数の文化が流入してきた現代の日本では逆に珍しい物になっており、日本に興味を持っている外国の人の方が良く知っているという事もあるぐらいです。このような現代だからこそ、伝統工芸という物に触れる事で、古き時代の自分達の文化を知り、新しい発想を得る事が出来るのではないでしょうか。

また、プロモーション戦略のひとつとして、映像にする事でその伝統工芸、芸能の良い所を分かりやすくまとめて伝える事ができます。馴染みがなくて敬遠しがちな厳かな事柄でも、映像があれば受け入れやすく、実際には意外とハードルが低かったり、馴染みやすいものであるという事に気付くきっかけになるのです。