AR誕生の歴史

ここ最近よく耳にする、ARやVR。よく似ているその2つの違いはなんなのでしょうか。ここでは、ARとはどのような技術なのか、また、ARの誕生と歴史、その技術の進歩についてご紹介します。 

 

目次

1 ARとVR

2 ARとはどのような技術なのか

 2.1 ARとVRの違い

3 ARの誕生

4 ARの技術の進歩

5 ARデバイスの進歩

6 まとめ

 

1 ARとVR

2016年あたりから、ARやVRと言った言葉が流行になりました。2016年はVR元年とも言われています。ここ最近で急速に実用化が進んできたARですが、実はもっと以前から、ARは我々の身の回りで活用されてきました。では、AR、VRとは具体的にはなんのことでしょうか。ARとは、アグメンティッド・リアリティ(Augmented Reality)の略語で、日本語に翻訳すると、「拡張現実」という意味です。VRはバーチャルリアリティ(virtual reality)の略語で、「仮想現実」と訳されます。

 

2 ARとはどのような技術なのか

ARとは、何らかのデバイスを利用し、現実世界に情報を付与することです。具体的には、グーグルグラスなどをイメージするとわかりやすいでしょう。例えば我々の住む現実世界に、石碑が建っていたとします。一見してもそれがなんの石碑なのかがわかりません。しかし、デバイスを通して見ると、石碑に情報が付加されている、これが拡張現実です。漫画のドラゴンボールに出てくるスカウターも、それを通して相手の強さを表示する、ARデバイスの一種と言えるでしょう。

Google Glass How-to: Getting Started

 

2.1 ARとVRの違い

VRはARと近いもので、VRを用いたARといった技術もあります。ARは現実世界に情報や仮想の物体を付加します。それに対しVRは、コンピューター上に仮想の世界を作り、デバイスを通してその世界を閲覧します。

PlayStation VR – Games Preview Summer 2016 | PSVR

 

3 ARの誕生

ARの歴史は、我々が想像しているよりもずっと古いものです。1968年、アメリカの計算機科学者、アイバン・エドワード・サザランドが、最初のARとVRである、ヘッドマウントディスプレイシステム「The Sword of Damocles」を生み出しました。シースルーのヘッドマウントディスプレイを使用し、現実世界にコンピューターグラフィックスの画像を重ねて見せるといったシステムでしたが、当時の機器はとても大きくて重く、天井に繋いで支えないと装着できないほどでした。ですが、この時代から、ARとVRの技術は研究されていたのです。

Ivan Sutherland – Head Mounted Display

 

4 ARの技術の進歩

1990年代に入ると、ARの技術は急速に進歩し、実用化し始めます。エンターテイメントの分野においては、まだ機器も巨大で、高額だったために、主に医療用や軍事用に活用され始めました。戦闘機にヘッドマウントディスプレイが利用されていました。

2000年代になり、スマートフォンが普及すると、一般的にもARの技術が活用されるようになりました。2008年に話題になった「セカイカメラ」も、ARの技術を用いたものです。スマートフォンを通して自分の立っている場所から景色を眺めると、町並みに情報が追加された映像が閲覧できました。「あの建物にはアパレルショップが入っている」「数十メートル先に行けばカフェがある」といった具合に、目の前に見えている景色に、ショップやランドマークのアイコンが表示されていたのです。

セカイカメラの紹介(NHK Vision-e)

 

2016年に大流行した「Pokemon GO」は、ARを活用したゲームアプリケーションです。現実世界の地図上にポケモンが出現し、その場所まで歩いていくことで、ポケモンに遭遇することができます。ユーザーはスマートフォンを通して現実世界を閲覧し、いつもの通学路や公園にポケモンの姿を発見することができます。拡張現実の世界にいるポケモンにモンスターボールを投げ、捕獲することができるのです。

Pokémon GO – Get Up and Go!

 

5 ARデバイスの進歩

ARを研究していた技術者は、様々なデバイスを開発してきました。サザランドのヘッドマウントディスプレイシステムもARデバイスです。研究が進むにつれて、より軽く、より安価なデバイスが開発されました。「ウエアラブルデバイス」とは、ヘッドマウントディスプレイのように、体に装着するシステムのことを言います。グーグルグラスもウエアラブルデバイスです。

しかし、現代において活用されているARは、スマートフォンやタブレットを活用したものが多いのです。グーグルグラスも革新的なデバイスでしたが、それほど普及しませんでした。まだ、ウエアラブルデバイスを日常に装着するのが恥ずかしい、といった印象もあるのでしょう。スマートフォンなら、新しくデバイスを購入する必要もありません。世界的に多くの人々がスマートフォンを手にしている現代、スマートフォンを通して拡張現実の世界を見ることが、手軽に実現しました。

AR技術で「動く教科書」

 

[HD]2分でわかる ぬりえARサービス紹介

 

6 まとめ

歴史的に様々なデバイスを開発してきたAR技術ですが、現代において、一番手軽な方法としてスマートフォンやタブレットが活用されています。しかし、技術的にはウエアラブルデバイスも、実用化されているのです。近いうちにどこかでブレイクスルーがおき、人々が当たり前のように、ウエアラブルデバイスを装着している、そんな時代が到来するのかも知れません。